文系/人文系の大学院へ進もうと考えている方のための人生を張ったレポ

※2018年の記事です

この記事を読まれているということは、大学院に興味があるということでしょうか?しかも文系の。
だとすれば、進学を決める前に立ち止まって、少し慎重に検討したほうがいいかもしれません。

というのも、人によっては大学院に進んだことを死ぬほど後悔する場合があるからです。

理系の大学院の場合、おそらく多少は就活に有利だったり、研究職に就く機会が増えたりするのではないでしょうか。(分野によるとは思いますが)

文系、特に人文系の大学院にはその利点がほとんどありません
結論から言うと、とことん勉強したい人以外にはメリットはほとんど無いと考えたほうがいいでしょう。

学部生の頃、院生の先輩から
「最悪人生が終了する恐れがあるから、進学する前によく考えたほうがいい」
と言われたことが今でも忘れられません。

その後筆者は人文系の大学院生となり無事に卒業しましたが、別に人生は終了していないし、進学したことを後悔してもいないので、この件に関しては人それぞれというしかないでしょう。

 

上記を踏まえても大学院に行きたいという勇気あるあなたのために、人文系の大学院進学と大学院の選び方について、人生を張って体験したレポを(少しぶっちゃけつつ)お届けします。

もちろん大学や学科によって差があると思いますが、雰囲気を感じていただければと思います。

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大学院では何をする?

修士2年・博士3年の課程のことですが、おそらく「大学院」を目指す人にとって関わりが深いのは修士課程のことであると思われるので、そちらをメインにご紹介します。

 

大学院も基本的には学部(大学の4年間のこと)と大して変わったことをするわけではなく、学部で学んだことの延長のような感じです。ただし当然ですが普段の発表や論文などに求められる難易度は上がります。

 

人文系の修士課程のゴールは多くの場合論文、つまり修士論文を出すことです。
修士の修業年限は2年間となっていますが、必ずしも2年で修了するわけではなく、3年あるいは4年をかけて論文を書く人もいます。

文系の大学院に進学してくる人々の種類

①学部での就活に失敗した人
よくあるパターン。仕方ない!
ですが彼らは本来そこまで勉強したいわけではないので、しんどそうです。
わりと人格がまともな人が多い。


②就活に有利だからと思った人

とくに有利というわけではないので目を覚まして欲しい……。
ただ、もし進学した場合、「○○の専門的な研究をした」と就活でアピールできることは増えるかもしれません。


③もっと専門的に勉強したい/将来は研究職に就きたい

ある意味最も健全な理由。ただし、研究職は条件にもよりますが狭き門です。

 

④学部時代に教職などの資格を取り損ねた
イレギュラーですが一定数存在します。


⑤モラトリアムがほしい

わかる~


⑥社会人/定年後に入学する

これも意外と多いパターン。


⑦なんとなくかっこいいから

おいやめろ!!死ぬぞ!!!!

 

正直に言うと、大学院は「あ、この人、社会生活に向いていないんだな」と薄ら感じる人の率がとても高いです(筆者含め)

こういうこと言ってると刺されそうなので弁明しておくと、
中にはもちろん社会性のある人もたくさんいますからね!

大学院生って暇なの?

授業のコマ数自体は少ないため暇そうに見えても、予習やリサーチに時間を取られてなんだかんだでカツカツになります。
また、授業と並行して、論文の執筆を自分で進めないといけません。

大学によっては雑用を押し付けられるところも。
学会の準備とか。地味に負担大きいんだよなあ……

院卒だからといって特別給料が高いわけではない

新卒向けの就活サイトなどを見ていてもわかりますが、院卒と学部卒の初任給はそれほど変わりません。筆者の頃は大体同じか、1~2万円の差の場合が多かったです。
アレッ何かお得感無いぞ~!!

研究職(大学の先生)になるのは難しい?

非常勤の講師の職を得るだけでも中々大変だとは思いますが、専任講師ともなるとかなり壁が高いです。

 

専任の職に就くためには、分野によるとはいえ、いずれにせよ相当の実力か相当の運の良さあるいはその両方が求められます。

 

日本国内でポピュラーで、多くの大学で教えられている学問であるならある程度は就職口にも望みがありますが、もしそうでない場合、特に筆者が学んでいた分野では、東大出身の先生たちでさえ、ついに専任の職に就くことなく定年を迎えるといったようなこともしばしばあるのが現状でした。

この背景には、人文系の学問だけでなく、大学という業界自体が斜陽の時代に入ってきているということが考えられます。
そもそもの就職先が減っていますし、後継の研究者養成にも重きが置かれなくなってきているのです。
悲しいことですが、これはきちんと把握しておく必要があります。
(と、お世話になっていた先生から在籍中100回は聞きました。笑)

抜け道として、海外の大学院に留学をし、海外で職を得るor実績を得るか、または英語で講義をできるようにすれば日本国内での就職の確率が上がるでしょう。

それでも進学したい場合

大学院の選び方:大学の知名度や偏差値はあまり関係ない

多くの人は学部からそのまま持ち上がる形で所属していた大学の大学院へ入学しますが、研究したい分野によっては他所の大学の大学院に入学する学生もいます。
その場合、大学院選びで最も大切なのは”自分の研究したい分野の専門の先生がいるかどうか”です。

そのため、大学院選びというよりは先生選びになります。
学部の知名度や偏差値のランクはそれほど関係ありません。
ただしまあ……東大だけはやはり別格です。

 

就活のことを考えると知名度や学部のランクが気になる……と思うかもしれません。
その気持ち、とてもわかります……が、もし就活のことを第一に考えるのなら、進学せずに今就活をすべきだと私は思います。

それから、”同じ分野を学ぶ学生が自分以外にどの程度いるか”というのも意外と重要です。
なにかと相談できたりするので、将来への不安も多少は和らぐことでしょう。

指導してもらいたい教授にコンタクトを取る

外部の大学院に入学したい場合は、指導を希望する教授にメール等であらかじめコンタクトを取っておくと安心です。
入試説明会などが開催されているならそれに参加して直接会っておくのが吉。
※中には事前に受験者と会わない方針の先生もいるため注意。
現時点で何らかの伝手があるならそれを使う、何のコネもないならまずは説明会に行くことを強くお勧めします。

 

これは余談ですが、筆者はコンタクトを一切とらずにいきなり受験して驚かれました。
在学中その話を掘りかえされまくって少し申し訳ない気持ちになったので、筆者の二の舞になりたくなければ情報収集はきちんとしましょう。

大学院の入試対策について

学部の入試問題と違って、定められた出題範囲というものが存在せず、テスト内容を予想するのは困難なため、過去問を手に入れられるなら手に入れて予習しておくとよいでしょう。
あとは指導希望教員が過去に書いた著作を全て読んで、内容を把握しておくといいかもしれません。
合格した場合はその教授のお世話になることになるので、礼儀的な意味合いも兼ねて。

大学院に入学するメリット

より専門的な知識を身につけられる

さて、散々なことを言ってきましたが、前述した通り、筆者自身は大学院に進学したことを全く後悔していません。
なぜなら自分が好きな学問をとことんまで追求することができたからです。
学部の時は、なんだか中途半端に終わってしまったなぁと不完全燃焼に感じていたので、今際の際にする後悔を1つは減らせたんじゃないかと思います。

最前線の研究者の指導を直接受けられる

先生方はおそらく最前線で活躍している研究者です。
そんな先生方の指導を直接受けられるというのは最大のメリットです。
大学院生は学部生に比べるとずっと少ないので、条件によっては先生とのマンツーマン授業だったりします。
費用対効果の究極ですよこれ。コスパ最強。

社会に出るまでの猶予期間の延長ができる

あくまで副次的なメリットですが、実は大きいです。
学部を卒業する時点で、社会に出て何をやりたいか、どんな職に就きたいかがわからない場合もありますよね。
もちろんそんなものは社会に出た後でいくらでも考えられるのですが、学生時代ほどは余裕がありませんし、選択肢も狭まります
大学院在籍期間はゆっくり腰を据えて考えられる最後のチャンスかもしれません。

学割適応期間が延長される

大学院生は大学生扱いなので、定期券・映画館・博物館/美術館の割引が適応されます。
せっかくなのでどんどん利用しましょう。
ちなみに希望者は然るべき手続きを踏むことにより、年金の支払いを猶予してもらうこともできます。

まとめ

人文系大学院に向いている人

・どうしても勉強がしたい
・どうしても研究職に就きたい(かなり厳しい道のりになりますが)
・家が自営業で、いざとなったらそっちを継ぐという選択肢が取れる人
・人生死ななきゃセーフという考えの人(筆者はこれ)

就職か進学か、どちらを選んでも後悔するかもしれませんが、どちらを選んでもきっと死ぬわけではありません(多分)
結局のところ自分の人生なので、自分の心に素直になって選んでみたらどうでしょうか。

最後に、研究職を志している方へ。
もしかすると未来が明るいとは言えない業界かもしれませんが、あなた達のような良い意味での「もの好き」がいないと、日本国内の学問の系譜は途絶えてしまうでしょう。その情熱に心から敬意を表します。前途に幸あれ!

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