交通事故で入院  弁護士には依頼すべき?  必要な手続きや解決までの期間など【体験談】

 少し前に交通事故に巻き込まれて入院・手術するという事件があったので、解決までの間にやったことなどを備忘録的にまとめておきます。

 いきなり結論から書きますが、弁護士さんには依頼したほうが良いです。依頼料を成果報酬から差し引いてくれるタイプのところもたくさんあるため、元手がないという人でも依頼しやすくなっています。

 というわけで、弁護士に依頼したバージョンのレポとなります。

スポンサーリンク

事故内容

過失割合

 この割合によって面倒臭さが天と地ほどに変わりそうです。今回の事故は相手方の車両に乗っている時に起きたので、不幸中の幸いというべきか、過失割合は10:0と、こちらに非はないと判断されました。

怪我の内容

 怪我内容は腕の開放骨折で、一度手術を行いました。入院期間については、最初伺った時は2週間程度見込みとのことでした。が、コロナ禍で病床に余裕がないこともあり、早めの自宅療養に切り替える方針となり、5日程度で帰宅を許されました。

通院期間:1年

 手術をしてしまえばあとは骨がくっつくのを待ってリハビリするだけだったので、最初の2、3ヶ月以降は3ヶ月ごとに通院、経過観察という形になりました。

後遺症

 こちらは通院終了後に判断しました。幸いにも後遺症はほとんど残らず、傷跡が何点か残った程度でした。

時系列順やったこと

事故当日

 病院に搬送されて応急処置をしたり、すっ飛んできた両親に状況説明をしたりなど、てんやわんやの騒ぎで正直何もできませんでした。最終的に病室に入ったのが午前2時頃。遅くまで本当にありがとう医療関係者。せめて給料が5億円になりますように。

事故翌日〜退院:各所への連絡

職場に連絡・休みを取る

 2週間程度の入院が必要と聞いて「それはまずい……」となり、まずは職場に連絡しました。この際、自分の直接の同僚or上司に加え、人事担当に話が伝わるようにしておくとGOOD。

 この時は相手方の補償等は念頭になく、傷病手当金(病気や怪我で仕事を休んだ時にお金を受け取ることができる制度)の申請を行おうと思っていたので、ひとまず3日間の欠勤を申告しました。ちなみに有給ではなく欠勤にした理由は、傷病手当金を申請する際は「報酬を受け取らない待機期間3日間」が必要だからです。

電話の数がすごい

 事故翌日から、電話が多方面からものすごい勢いでかかってきます。まずは警察から電話がかかってきて、後日診断書を提出してほしいと要請されました。次に、相手方からの謝罪の電話、その次に相手方保険会社(自賠責)からの電話などがありました。普段あまり電話をしない族なので精神的に少し疲れました。

診断書の発行

 警察から要請されていた診断書の発行を担当医と看護師さんに依頼しました(こちらは依頼しなくてもやってくれそうな気はしましたが……)。ちなみに、主治医いわく、全治3カ月以上の怪我という診断を下すと、事故を起してしまった人に刑事上のあれそれが降りかかってしまうそうです。こちらとしてもそれは本意ではなかったため、全治2カ月ということにしてもらいました。

 診断書は、原本を警察に提出、コピーを弁護士・自分の保険会社・相手方保険会社など各方面に提出することになりました。

入院費は相手方保険会社が払ってくれた

 退院時、どれだけ費用がかかるのだろう……と震えていましたが、入院費は全額相手方保険会社が支払ってくれました。ただし、入院費以外(外来扱いで発生した費用)は一時建て替えとなりました。この際、診療明細書や領収書などはなくさないように保管しておきましょう。

退院後~事故後1か月:弁護士へ依頼

通院続行

 退院から数日後、2週間後、さらに2週間後と通院がありました。最初は間隔が短いですが、けがの状態が安定するとともにだんだん間が長くなっていきます。筆者の場合、最終的に通院間隔は3カ月になっていました。これはもちろん怪我の程度や内容によって個人差があると思います。

弁護士に依頼

 このあたりで、友人の勧めもあり、交通事故に強い弁護士事務所へと相談しました。

 筆者も当事者になるまで知らなかったのですが、自賠責基準の慰謝料額と弁護士基準の慰謝料額では雲泥の差で、弁護士に依頼した場合、慰謝料の金額が跳ね上がる傾向にあるそうです。一方、自賠責基準は必要最低限の額であることも多いそうな。もししっかりと相応の慰謝料をもらいたいなら依頼することをおすすめします。

 どのような場合に依頼したほうがいいのか、ざっくり簡単にいうと、
依頼したほうがいい場合→弁護士基準の慰謝料目安額-(自賠責基準の慰謝料目安額+依頼料など依頼にあたってかかる経費)≧0
依頼しないほうがいい場合→弁護士基準の慰謝料目安額-(自賠責基準の慰謝料目安額+依頼料など依頼にあたってかかる経費)≦0

かと思います(そりゃそう)。

 迷ったら聞くのが一番早いです。ちゃんと答えてくれます。筆者は当初自分で対応するか弁護士に任せてしまうかかなり迷っていたため、電話した際に「依頼するべきか」と率直に尋ねました。すると自賠責基準の慰謝料と弁護士基準の見込み慰謝料の目安を出したうえで「この場合だと依頼していただいてもいいかもしれません」という回答があったため、依頼することを決めました。

損害品の目録を作成

 依頼後、契約書などが届くのと前後して、損害品の目録作りを行いました。事故で汚れたり壊れたりした物品をリストアップし、購入年月日と値段を記入していきます。写真も必要だったのですが、病院で破棄した服も申請したところ通ったため、現物が残っていなくても場合によっては大丈夫なようです。

事故後1か月~4か月頃:各種書類の作成など

調書の作成

 事故が発生した地域の担当警察署に行き、調書を取ってもらいます。調書を取られるなんて初めての経験だったのでドキドキしました。笑

 内容は一人称視点の形式で、質問に答えていくと警察官がそれをPCに打ち込んで「私は〇月〇日、○○で~」という文章にしてくれます。自分以外の人が自分の一人称小説を書くので変な気分でした。また、最後に加害者(便宜上加害者と呼んでいます)に今どういう感情を抱いているかを聞かれます。どう答えようとも罪状が変わることはほぼないそうです。

 ちなみに、警察署に行くまでにかかる時間によって手当金が5000円~1万円程度出ます。仕事を休んで来ることを見越してだと思いますが、結構しっかりした制度なんだなあと感心しました。

自分の加入している社会保険に連絡・報告書類の作成

 仕事に復帰した流れで、職場で加入している社会保険のウェブサイトを確認したところ、他責事故にあったら電話せえと書いてあったので、渋々担当窓口に連絡しました(ここで他責事故の場合は傷病手当金は申請できないことを初めて知る)。

ここでは、
・社会保険が立て替えている医療費を相手方保険会社に請求するための契約書類
・事故証明書(ネットで取り寄せできました)
・診断書のコピー
・事故の状況を図に示したもの
など、いろいろ用意するものがありました。なかにはすぐに用意できないものもあるので、余裕をもって準備するのがおすすめです。

休業損害証明書を発行する

 他責事故だと傷病手当金は申請できないと書きましたが、その理由がこれ。怪我起因で仕事を休んだ日の賃金に相当する金額を相手方保険会社が満額支払ってくれるのですが、その申請に必要なのが「休業損害証明書」です。こちらは自分が勤めている会社の担当部署に頼んで作成してもらい、さらにそれを相手方保険会社に送付します。

事故後5か月~1年

終診までひたすら通院

 半年ほど通院した後、怪我の具合も安定したため、次の診察は事故から1年後ね! と、あるタイミングで言われました。その間、薬代や診療代の領収書、休業損害証明書などは適宜送っています。

事故後1年~解決

いよいよ終診

 さて、事故から1年が経過して、いよいよ最後の通院です。重い後遺症も特になかったので「じゃあ終わりです、お疲れさまでした」とあっさり診察も終了しました。※後遺症がある場合はさらに検査があると思います

 終診後は、弁護士に連絡。このタイミングで改めて後遺症の有無や傷跡の写真などを提供し、示談手続きに入ります。また、送っていない領収書があった場合はそれも送ってしまいます。

想定慰謝料金額の共有

 終診から約1か月後、金額の算出が終了し、弁護士からの説明がありました。いったん満額を請求し、相手が提示してきた金額がこの金額以上だったら承諾、この金額以下だったら裁判に発展、などのラインも教えてもらいます。素人としては特に口を出せるところもありませんでした。

示談成立

 上記より数日後、早くも示談が成立したと連絡がありました。あまりの早さに驚きましたが、筆者の場合はごく単純な案件だったため、それほどもめることもなかったのかもしれません。

慰謝料振込

 さらに約1か月後、経費や依頼料などの清算が完了し、慰謝料が指定の口座に振り込まれました。これで事故に関わるすべての手続きが終了して、ほっと一安心したのでした。

弁護士に依頼してよかったこと

 今回筆者は、弁護士に依頼して事故の処理にあたりましたが、その中で良かったと思えることを挙げていきます。

①書類を管理しなくてもいい

 事故後はとにかく作る書類が多くてうんざりするのですが、補償関係の書類だけでも弁護士にお任せすることができたのは本当によかったなと思います。領収書なども、性格上、自分で取っておくと失くしてしまって「もういいや」になりそうだったので、ある程度溜まったら郵送するだけだったのは大変助かりました。

②相手方保険会社とのやり取りがなくなる

 これも個人的には大きかったです。電話の予定がある日は朝から憂鬱なタイプの人間ですし、かつ相手方保険会社さんとの電話は“話している人は悪くないのにこちらに下手に出なければならない人”との会話なので、やりにくさMAXです。

 直接のやり取りが最初の数回にとどまり、あとはすべて弁護士経由でのやり取りとなったのは、精神的な負担がかなり軽減されました。

③慰謝料が増える

 弁護士に依頼することの大きなメリットのひとつとして、「慰謝料の金額が増える」というものがあります。筆者の場合も例外ではなく、弁護士を挟まなかった場合の当初の見積もりから、最終的に4倍近くの金額になり驚きました。

④わからないことがあったら相談できる

 なにせ交通事故にあうなんて人生の中でもそうそうあることではないので、何から何までわからないことだらけです。定期連絡のついでに「これって○○したほうがいいですか?」「××はこういうことですか?」と気軽に相談できるのは大変心強かったです。

まとめ

・弁護士に依頼すると電話対応や事務作業が減って楽
・弁護士に依頼すると示談を自分でしなくていいので楽
・弁護士に依頼すると慰謝料が増える
・診断書のコピーは多めにとっておく
・他責事故の場合、傷病手当金は申請できない
・思ったよりも完全解決までに時間がかかるので気長にやる

 まずはもう二度と事故にあわない・起こさないことを願っていますが、万一2度目があった場合は必ずまた依頼しようと思います。

 以上、事故にあって弁護士に依頼したり慰謝料をもらったりしたレポでした!

タイトルとURLをコピーしました